[コネコノコ2]


あぁ、あったかいわぁ。
甘いほこほこのミルクの匂いもする。
マスターの膝に抱っこされて撫でられるの、大好きどす。
ごろごろとノドを鳴らしてすり寄って。
「起きたのか」
『なっ…?』
目ぇ開けてよう見れば……。
『あーーーー?!』
こない見ず知らずよう好かんヤツと思い違いしてまうなんてっ!
あぁぁ堪忍え、マスター。
頭に乗っけられたまんまの手ぇを振り落としたったけど。
気にもせぇへんで、ヤツはウチを抱き上げて。
『放しぃや!』
抗議の声を上げたるけど。
「腹、空いてるだろう」
あっさりと下ろされた先は、温かいミルクの前やった。
さっきから気になっとった甘い匂い。
後先考えんとつい口付けてもうて。
『あっつぅ!!』
ありえへん!
こんな熱いモン人に寄越すなんて信じられへん!
「大丈夫か」
よう云うわ!
人をヤケドさしといて!
目の前に出された手ぇに、思いっきり噛みついたる。
マスターは、噛んだり引っかいたりするんはアカン云わはったけど。
うち、悪い子ぉやろか。
なぁマスター?
2005/02/22




[コネコノコ]


ある日、猫を拾った。
路地裏で、薄汚れて痩せこけてくったりとして。
人でも猫でも、弱って落ちているからと拾っていては切りがないが。
果たして生きているのかと、屈んでそっと首元に触れてみれば。
『何やの、放っといてや…』
目も開けずにか細く鳴いて、指を振り払われる。
まだ小さく、弱っていても、猫らしく気位は高いらしい。
それがおかしく、また好ましく、ふと笑みが漏れる。
ただの路地裏なら放っておく。
だがここは俺の家で。
「ここで会ったのも何かの縁だ」
抱き上げたそれは、片手には余り両手では過ぎる程で。
『気安ぅ触らんといて…』
「意外と元気だな」
指先で顎の下をくすぐってやる。
『や、卑怯やわそないなっ』
喉を鳴らす猫を片手で抱え撫でながら、立ち上がり。
さて牛乳は足りるだろうかと部屋の鍵を開けた。
2004/12/26