[ 約 ヤク ]


「俺がアンタを守る」

低うて、せやけどはっきりした声で。
起き抜けの、まだ半身を起こしただけのうちに、
足許に跪いたソレは云いよった。
「……当然どす」
その為に生き返らしたのやし。
朝も早うから何やの、コレは。
「必ず守ってみせる」
へぇへ、しっかり頼んますわ。
「だから、」
「何どすっ」
あぁもう鬱陶しわぁ!
上から睨み付けても、怯みもたじろぎもせぇへんし。
おもろない。
「だからアンタは、もう殺さないでくれ」
……何やの、ソレは。
「頼む」
何なんや、コイツ?
うちが子供やから?
せやかてタダの子供ちゃうんは、よぅく知ってるのやし。
それこそ身をもって。
何や意図がよう判らへん。
第一。
「今更や」
アンタの前にどんだけの屍こさえたと思うとるん?
ほんま、何を今更なんよ?
「どうしても駄目か」
そない云うたかて……
どないしたもんやろとその目ぇを見る。
うちの僕-しもべ-の証の黄色い目ぇ。
揺らがず逸らさず見返してくるソレに、
うちのが居心地悪ぅなる。
「なしてそないな事言うん?」
つい目線を外してもうたんは、別に負けたんとちゃいますえ?
「そうすると己に誓った」
そやないやろ!
「アンタうちを殺したかったんちゃいますの?」
「だが今は守るべき者だ」
違うか、て反対に聞き返されるし。
まぁ確かにその通りなんやけど。
「したらうちはもう何もせぇへん」
改めて、その真っ直ぐな目ぇを見返したる。
「それでもアンタ、うちに傷一つ付けん自信あるん?」
強うて静かな視線は、死人やから?
「この身にかけて」
視線だけやない、その声の揺るぎなさは。
死人のクセに、なぁ?
まぁええ。
神に誓わんかったんは気に入りましたわ。
「ほなせいぜいお気張りやす」
どこまでその言葉守れるか、見してもらいますよって。

「うちはラクさせてもらいまひょ」



さてアンタとは、どこまで行けますやろか?






〜2004/09/10
どうしてヘイゼルさんが戦わないかのうち的捏造。
ガトに戦わせて自分は動かないのがイヤというのを見て、
じゃあ何でなんだろうと。
なので24話は本編にOK頂いた様な気分だったり(笑)。←調子乗ってます